アジャスタ見本

アジャスタの回しすぎに注意!

ペグを回すのは怖いからと、初心者はアジャスタに頼りがち

調弦を行う際、初心者の場合はペグを回すことが難しいと感じて、ついアジャスタに頼りがちになります。とくにサイズの小さい楽器(1/8、1/4程度)ならアジャスタだけで調弦できるので、ペグを使わない人がほとんどです。

ペグを使わないといけないルールはありませんが、アジャスタには限度があるので、ペグでの調整が必要なときがあります。

アジャスタは「ネジ」なので、無限に回るものではありません。締め切ってしまえばネジは動かなくなるし、全部緩めてしまえばネジは外れます。適度にペグを使って調整しないといずれ「アジャスタが動かない!」「アジャスタが外れてしまった!」という場面に遭遇します。

いま一度、アジャスタを回すときの注意点を確認しておきましょう。

アジャスタは「ネジ」です

アジャスタは「ネジ」です。ネジなので、すべて回して締めてしまったら、それ以上動かなくなります。ペットボトルのキャップを締め切ったのと同じです。

反対に、ネジをすべて緩めてしまったら、ネジは外れてしまいます。ペットボトルのキャップを開けたのと同じです。

アジャスタのネジは外れるとf字孔に落ちることがあります。f字孔に落ちると簡単には取り出せません。外れたネジを失くしてしまうこともあります。まずは「ネジを外さない」ように注意してください。

アジャスタが動かないとき

音を高くするときは弦のテンションを強めたいのですが、ペグを締めて弦を切ってしまうことを恐れて、音を高くするときほど初心者はアジャスタに頼りがちです。

毎回アジャスタだけを回していると、アジャスタを締め切ってしまうことが多々あります。とくにサイズの大きな楽器(3/4、4/4等)では、アジャスタの1回転ではあまり音が変わらないので、何回転も回します。

アジャスタを締めていけばどこかでそれ以上回らなくなります。このとき「アジャスタが動かない!」と焦るかもしれませんが、落ち着いて状態を確認しましょう。

アジャスタが動かないときは、それ以上回そうと思っても回りません。いったん反対の緩める方向に回してください。

「いや、弦を緩めたいのではなく、音を高くしたいからもっと締めたいのです!」と言いたくなるかもしれません。そのときはペグを回して調整しましょう。アジャスタを緩めた分はペグを締めれば音を高く調整できます。

アジャスタのネジは、常に左右どちらにも回せる状態に余裕を持たせておきましょう。

アジャスタの解説図
【左】アジャスタを緩めた状態【右】アジャスタを回し切った状態

アジャスタが外れたとき

アジャスタが外れてしまったら、すぐに元に戻してネジを締めてください。

ネジは小さいので、落とすと失くすことがあります。とくにf字孔の中に落としてしまうと、簡単には取り出せません。ネジを取り出そうと無理して楽器を傷つけることもあります。ネジがf字孔に落ちて取り出せない場合は楽器店に相談しましょう。

緩んだネジを締めれば弦のテンションも強くなります。ネジを緩めているときは音を低くしたいときですが、弦のテンションが強くなれば音は高くなります。音を低く下げたいときは再度ネジを緩めるのではなく、ペグを回して調整してください。

アジャスタの締めすぎは要注意

アジャスタを締めると、ネジはどんどん下に落ち込みます。アジャスタの大きさによっては、ネジが楽器の表面に触れることがあります。その状態でネジを回し続けると、楽器を傷つけます。最悪の場合は楽器の表板を貫通することもあります。

楽器を傷つけないよう、アジャスタの周りを良く観察してください。

アジャスタによって傷ついたバイオリン表板
アジャスタで傷ついた表板

楽器を良く観察しよう

アジャスタは極めてシンプルな構造です。よく観察して、自分のアジャスタの状態を知っておきましょう。

バイオリンのお手入れ・調整は「●●だけ行えばよい」というものではありません。気温や湿度の変化の影響が大きいので、毎日の状態を良く知って、良い状態に保っておきます。

少なくとも毎日触るアジャスタは、今どういう状態(ほぼ回し切った、あと少しで外れる)なのか、知っておきましょう。

バイオリンを演奏するリスのイラスト

「バイオリンをもっと身近に感じてほしい」の思いを持ったバイオリニストによる講師チーム。オンラインならではの教え方を工夫しています。日本国内だけでなく海外からもレッスン実施中。