バイオリンを操作する左手

バイオリン左手の正しい形の作り方~初心者の簡単な練習法

バイオリン初心者の左手はすぐに崩れる

初心者にとって、左手を正しい形に保ったまま弦を押さえることは難しいものです。普段やらない手や腕の使い方をするため、慣れないと不自然に感じられます。不慣れな形で弦を押さえるより、ついラクな形で弦を押さえてしまうため、左手はどうしても崩れてしまいます。

きらきら星のように簡単な曲をゆっくり弾くのなら左手の形は崩れていてもなんとか弾けますが、形が崩れたまま練習を続けてもそれ以上の上達は難しいでしょう。

ここでは、左手の正しい形の作り方を解説します。左手の形が分からない、うまくできないと思ったら、左手の基本の形を最初から作ってみましょう。

0.左手を練習する前に、楽器の持ち方を安定させる

バイオリンの左手を正しい形にするには、まず楽器の持ち方(バイオリンを顎で固定できる)ができることが前提です。顎の挟みが不安定だと左手は正しい形になりません。左手で楽器を支えないと楽器が落ちてしまうからです。

左手が崩れているかどうか分からない場合は、「バイオリン左手のフォーム改善~悪い癖を直すためのアドバイス(原因は持ち方)」でも解説しているので参考にしてください。

楽器の持ち方ができないまま左手を練習しても正しい形にならないので、まず楽器の挟みを早期に安定させることを優先しましょう。

1.左手をネックの先端まで移動する

最初のボーイングの練習では、左手は楽器本体を支えていることが多いので、左手の形を意識することはなかったと思います。まずこの左手を楽器の先端(うずまき近く)まで移動させます。このとき、以下のポイントに注意してください。

左手をネックに移動するときの重要ポイント

【遠くに離す】
左手をネックの一番遠いところ(うずまき近く)まで離す

【指】
左手の指を立てる(指先をすべて天井に向ける)

【手のひら】
左手の手のひらを自分の顔に向ける

バイオリンの左手の解説図
①指を立てる ②手のひらを自分に顔を向ける

2.立てた指を上から弦に下ろす

薬指(3の指)を下ろす

手のひらを自分の顔に向けたまま、左手の薬指(3の指)をA線の上に置いてみましょう。このとき、手のひらを倒さず、指を弦の真上から弦に降ろします。

人差し指(1の指)と中指(2の指)も下ろす

薬指(3の指)を下ろしたら、人差し指(1の指)、中指(2の指)も弦の真上からA線の上に下ろします。今は左手の正しい形を作ることが目的なので、指を置く位置は気にしなくて構いません。

3本の指を弦の上に置いたときの左手の形に注意してください。手のひらに卵を握っているような丸い形になります。卵が入る隙間が無い場合は手のひらの形を潰してしまった形(正しくない形)なので、上記の1からやり直します。

バイオリンの左手
薬指(3の指)をA線に下ろす
バイオリンの左手の作り方③人差し指と中指もA線に下ろす
手のひらに卵を抱えるイメージ

3.指を立てる→下ろすを繰り返す

上記の1(指を立てる)と2(指を下ろす)を繰り返します。こうして左手が正しい形を作れるよう慣らしていきます。このとき、確実に正しい形を作ることを意識して、ゆっくり指を動かしてください。

うまくできないときは基本の持ち方を練習

1の形も2の形も作れず左手が崩れてしまうなら、多くの場合は顎の挟みが安定していないことが原因です。まず基本の持ち方をよく練習しましょう。持ち方の練習は面白くないからと省略しているかもしれませんが、左手の形も右手のボーイングも正しい形ができるまでは持ち方の練習は毎日続ける必要があります。

初心者は弦を押さえることに意識を集中してしまって、左手の形が正しくないまま練習していることがあります。左手の形に慣れてから弦を押さえる練習をしたほうがスムーズに押さえられます。最初は不慣れな形ですが、毎日練習して正しい形に慣れるようにしましょう。

教室の先生にいつも直されるけど、左手の形が良くならない

左手の形が悪いのは、姿勢と持ち方が悪いから。左手だけを直そうとしてもうまくいきません。姿勢と持ち方はすべての基本。一度だけ、基礎を復習してみませんか?

バイオリンを演奏するリスのイラスト

「バイオリンをもっと身近に感じてほしい」の思いを持ったバイオリニストによる講師チーム。オンラインならではの教え方を工夫しています。日本国内だけでなく海外からもレッスン実施中。