ピアノとバイオリンを両方習う~楽しくタイパ良く両立する方法
ピアノが好きだから、バイオリンも弾いてみたい ピアノを続けている人は、音楽が好きです。ピアノを弾くだけでなく、オーケスト Read More »
2020年以降、企業、学校、ショールーム、学習塾、・・・様々な分野でオンライン形式のコミュニケーションが普及しました。これまでにZoomやTeams、Webexなど、何らかのオンライン・コミュニケーションツールを使ったことのある人は着実に増えています。
しかしそれでも「楽器はオンラインでは上達しない」「教室に行かないとできるようにならない」と言ってオンライン・レッスンが敬遠される場面は多々あります。
子どもの習い事は、子どもだけでなく親が積極的に「どこで習うか」を検討します。親世代はオンラインで習い事をした経験がありませんから、オンライン・レッスンの利点が分かりません。だから無意識のうちに「習い事は教室のほうがいい」と思い込んでしまうバイアスがあっても当然でしょう。
しかし、オンライン・レッスンならではの制約はもちろんありますが、教室レッスンが絶対的に優れているわけでもありません。オンラインと教室とではそれぞれに長所・短所があります。
「オンラインレッスンがダメな理由」は誰でも考えるので、ここではオンラインレッスンの長所・利点を紹介していきます。
楽器なのかスポーツなのか等、習い事の種類によってもオンラインと教室の長所・短所は変わってきますが、ここでは未経験から始める「バイオリン」を前提に考えます。
オンライン・レッスンの制約は何より「講師が生徒の楽器を直接触れない」ことです。教室レッスンなら楽器の持ち方や姿勢を直接講師に直してもらうことができます。
しかしこの「教室なら持ち方や姿勢を先生に直してもらえる」という利点は、未経験者のバイオリン上達には邪魔になることがあります。
バイオリンを習い始めると初心者はまず「持ち方」「姿勢」で苦労します。バイオリンは持ち方が特殊で、持ち方を習得するには早くても数週間の練習を要します。
ところがこの持ち方や正しい姿勢は高学年生でも一人では練習できません。初心者が無意識の体のクセを自分で気づくのは困難です。持ち方や姿勢が悪いと音も悪いし上達が遅くなります。ですから、家での練習は基本的に親(保護者)にみてもらう必要があります。
ピアノやスイミングの習い事なら「親は送迎するだけ、あとは先生におまかせ」でいいのですが、バイオリンは親の関与が欠かせない楽器です。
家で練習する際は先生はそこにいません。子どもがバイオリンを練習していて持ち方や姿勢が崩れたとき、直してあげられるのは親だけです。
家で練習するときに親の協力が必要になるのは、どんな教室に通っても同じです。ところが、教室では先生が持ち方や姿勢を直してくれるので、親が直接サポートする場面がほとんどありません。見ているだけでは持ち方や姿勢の直し方が分かりません。教室では親が手を動かさなくていいのはラクですが、親が練習の仕方を覚えられないので、家に帰ると正しい練習ができないというケースは少なくありません。それでも教室に通って毎回直してもらっていればいずれは慣れていくので、多くの人はそれが正しい道筋だと認識します。
一方で、オンライン・レッスンは画面越しに指導するので先生は生徒の持ち方を直すことができません。このとき、先生の指示を受けて親が手を動かすことになります。面倒だと思うかもしれませんが、親も一緒に練習に参加するから、先生がいなくても家で正しい練習を再現できるのです。
「オンラインでは直接楽器を直してもらえないから、上達できない」ではなく、実は「オンラインでは親も積極的に関わるから、家でも正しい練習ができる」というポジティブな側面があるのです。
「親だってバイオリン未経験なのに教えられるわけがない」と思うかもしれませんが、大人に期待される役割はバイオリンを弾けることではなく「受講者の姿を良く観察して、講師の指示どおりにできていないところを探す」ことです。
バイオリンのレッスンでは、講師の指示は意外にシンプルです。大人が聞いている限りは、難しいことは何もありません。しかしこれが、楽器を弾いている子どもには難しく感じられます。講師の言っている意味が理解できないのではなく、講師の言う通りにやっているつもりなのですが、実際はできていないのです。
隣でみている親にはもどかしく感じられるのですが、これは子どもの理解が足りないのではなく、体や筋肉がまだバイオリンの弾き方に慣れていないことが原因です。身体をうまく動かせないので、指示通りのことができません。
ここで親なり第三者が「そうじゃないでしょ」と言葉で指摘するより、講師の指示に従って直接手を出して矯正してあげるほうがうまくいきます。筋肉に直接「正しい動き」をインプットしてその動きを覚えさせるイメージです。
だから親がバイオリンを弾けるかどうかより、講師の指示を聞いて弾き姿を観察することのほうが重要です。小学生は「弾く人」その親は「サポートする人」という具合に役割分担して練習します。役割が違うので、親は必ずしもバイオリンを弾ける必要はありません。
「姿勢のチェックポイント~バイオリン未経験の親でも、その判断でOK」でも姿勢の確認方法を解説しているので参考にしてください。
オンラインでも教室に通っていても、家の練習は親が指導しなければならないのは同じです。では親にバイオリン経験が必要だと思うかもしれませんが、親のバイオリン経験は必ずしも有利なわけではありません。
というのも、初心者の頃の「持ち方」「姿勢」の苦労は、慣れてしまうとほとんど覚えていません。たとえて言うなら自転車に乗れるようになる前の苦労、または箸の持ち方を練習するときの苦労と似ています。最初はとても難しいのですが、できるようになると無意識に体を動かせるので、そのやり方を具体的に言葉で説明することができません。
そのため、バイオリン経験者の親が指導すると「なんとなく」「こんな感じ」という抽象的な説明が多くなりがちです。教室の先生は言葉で説明するより手で直したほうが早いので、あまり具体的な言葉を使うことがありません。そういう指導を受けていればなおさら言語化することは難しくなります。
初心者の「できない」を「できる」に変えるには正しいやり方、正しい練習が必要です。オンラインのレッスンでは直接手で直せないため、言葉で説明することが多くなります。そうすると、バイオリン経験がない親でも正しい動きを理解できるし、自分の手を動かすから再現もできます。
そもそも初心者が練習できるのは1日10分程度です。慣れればもっと長く弾けますが、最初は10分がやっと。これは教室に通ってもオンラインで習っても同じです。
初心者の練習時間については「初心者の練習時間は1日10分~短時間でも効果的な練習にする方法」でも解説しているので参考にしてください。
何時間も練習につきあうと思うと大変ですが、1日10分です。これなら親も一緒に頑張れます。子どもが成長するにつれ「親子で一緒に何かに取り組む」機会は減っていきますが、毎日10分をコミュニケーションの時間と考えたら、親も楽しく続けれるのではないでしょうか。
バイオリンの上達に必要なのは、教室かオンラインかという手段の選択ではなく、毎日練習をすることです。オンラインだからと無理に長時間の練習する必要はないし、教室に通っているから練習が少なくていいということもありません。
大事なのは練習の質です。面倒だなぁと思いながらただ時間を消費するだけの練習では何時間練習しても上達はしません。短時間でも「今日の練習のポイントはここ」「いまの課題はここ」と何を練習するのか意識して行うことで10分の練習でも上達する練習になります。
最初から効率よく質の高い練習ができる人はいません。最初は言われたことをこなすだけで精一杯。でもそこから同じ10分の練習を質の高い練習にするには「レッスンで何かひとつでも質問すること」を試してみてください。だんだんと、何をすればいいのか分かるようになります。
「バイオリン上達の秘訣は「質問」~これで1日10分の練習が「上達する練習」に」の記事でも質問の効果について紹介しちえるので、こちらもご参照ください。
始める前からバイオリンは難しいと大人は知識で思い込んでしまうのですが、実際の練習は意外にシンプルです。基本形を着実に身につけていけば曲として完成するし、音も綺麗になります。
それでも「オンラインで本当に弾ける?」と疑うのも無理はありません。論より証拠。実際に未経験からオンラインレッスンで弾けるようになった演奏動画を紹介します。
下は「小学生のための6週間バイオリン・レッスン」の受講者の成果です。参加した親子はバイオリンに触るのはこれが初めて。
「きらきら星」(1~3年生)
「喜びの歌」(4~6年生)
最初の基礎練習は誰でも大変だと思うものですが、少しでも曲を弾けるようになると楽しくてどんどん弾くようになります。自転車だって、乗れなくて練習しているうちは大変だと思うのですが、乗れるようになってサイクリングに行けば楽しくなります。そして、最初に何度も転んだ経験なんて忘れてしまうように、バイオリンの最初の基礎練習も「そういえば、そんなこともあったね」という程度に忘れていきます。
最初は「本当にオンラインで弾けるの?」と疑っていた親子も最後には堂々と曲を演奏するほどになります。6週間レッスンの受講者の感想をまとめた「バイオリン体験レポート~実際に弾いてみた感想とその効果」も参考にしてください。
オンラインの最大の長所ともいえるのが、送迎が不要なこと。共働きで送り迎えできないから習い事を諦めていた、近くに教室がないから諦めていた等、時間や立地の制約を受けずに習えます。他の習い事や塾通いがあっても両立できるようになります。
オンラインのレッスンは外に出なくて済むので基礎疾患がある子どもの受講も増えています。喘息があって人混みが苦手、対人恐怖があってほかの人がいる教室には行きにくいというケースもありました。
外出しにくい理由がある場合には、外出せずに習える手段があることで選択肢が増えるのです。「オンラインは良くない」とを無条件に敬遠するのではなく、ライフスタイルに合わせて積極的に検討の対象にしてほしいと思います。
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