楽器店に展示されているバイオリン

初心者向けのバイオリン、お値段いくら?~予算と選び方のコツ

お値段の正解はないけど、予算のヒントならあります

バイオリン教室のウェブサイトを検索すれば月々のレッスン費(月謝)はだいたい見当がつきます。でも、楽器購入の費用の目安はどこを探しても適切な情報が出てきません。

初心者で経験がないのに、最初に何十万円もする楽器が必要?それですぐに教室を辞めてしまうなんてことになったら?・・・と考えたら、バイオリンを習うことを躊躇してしまうのも当然です。

バイオリンのお値段はよく言われるとおり「ピンキリ」なので、正解がありません。数千円の楽器もあれば、100万円以上、1千万円以上の楽器も存在します。が、ここでは「親子とも楽器経験がない状態からバイオリンを始めるなら、楽器をいくらでどこから調達したらいいか」の考え方を紹介します。

これが正解という絶対的な答えではありませんが、バイオリンを始めるヒントになれば幸いです。

高級楽器じゃなきゃダメ!・・・なんて誰が決めた?

趣味で習う楽器なら、本来いくらの楽器を使おうが他人に文句を言われる筋はありません。でもなぜかバイオリンには第三者、とくに専門家と言われる人たちががダメ出しをしてくることが多いのです。安い楽器を探していると言ったら一笑されることも珍しくありません。

これは誰が正しいとか正しくないという話ではなく、立場の違いだと考えましょう。バイオリンの専門店はバイオリンが生活の中心にあります。だから良いバイオリンを普及したいと思っています。自分たちの手元に推奨したい良い楽器があるのに、それより質の劣る安い楽器を探す人がいたら「こちらの楽器のほうが良い楽器ですよ」と助言したくなります。もしかすると「そんな楽器はダメです」という言い方になるかもしれません。

一方で、これから趣味で習いたいと考える人にとって、バイオリンが生活の中心ではありません。子どもならほかにも習い事があったり塾にも通っていたり、バイオリンの優先度が最上位にあるわけではありません。だから予算を抑えたいと考えるのも当然です。

バイオリンの専門家なら楽器の良し悪しを見分けますが、初心者にはその違いは分かりません。「これが良い」と言われても安い楽器とどう違うのか、具体的な違いが分かりません。説明されたら、確かに作りは凝っているようだけど・・・初心者にそこまで必要?という具合です。「良い音」の基準だって個人の好みが反映される部分です。大きなホールで演奏するのでなければ響きにこだわることもないでしょう。

だから初心者のうちは「楽器購入費を安く抑える」「リーズナブルな楽器を探す」という方針でも決して間違いではないのです。習い事の方針を決めるのは習う本人(子どもなら保護者)であって、楽器を売る人ではありません。納得のいくお値段で納得のいく楽器を購入して始めるのがその家庭にとっての最適解。最初に安い楽器で始めて、長く続けて上達してより上位の楽器が欲しいと思うようになったらその時に考える、でいいのです。

まずは「始める」「続ける」が大事。最初の一歩で躊躇していたら何も始まりません。

忘れちゃいけないサイズ交換

バイオリンはサイズ交換が必要な楽器です。小学校高学年生で背も大人並みに大きいなら大人用の楽器から始められるのでサイズ交換は必要ありませんが、体の小さな子どもは小さいサイズから使い始めて、成長とともにサイズを交換していきます。

最も小さいサイズ「1/16」から使い始めたなら大人用のサイズになるまで6回のサイズ交換があります。楽器のサイズが変わるたびに買い替える必要があるので、これも「バイオリンはお金がかかる」というイメージの要因かもしれません。

(楽器サイズの詳細は「子ども用バイオリンのサイズは何種類?」をご参照ください)

最初に購入した楽器をいつまで使えるかは体の成長によります。急に背が伸びれば半年でサイズ交換かもしれませんし、成長が遅ければ数年使えるかもしれません。しかし確かなことは、子ども用サイズから使い始めた場合いずれその楽器は使わなくなります。だから最初に購入する楽器は「費用を抑える」考え方でいいのです。

最初の楽器購入費を安く抑える方法

いくら安くてもすぐに壊れたりで結局買い替えたりで余計な出費がかかるようでは安物買いの銭失い。初心者のうちに十分使い続けられる楽器を探す方法を紹介します。

1.レンタル楽器

大手楽器店のレンタルサービスのほか音楽教室のオプションとして楽器をレンタルしていることもあります。楽器のことがよく分からないなら最初はレンタルで様子を見て、購入を検討するようになったらじっくり選ぶと良いでしょう。

月額費用は4千円程度から。レンタルサービスによっては最低使用期間が決まっていたり事前にデポジットの支払いが発生したり条件があります。

(例)ヤマハ楽器レンタル

レンタルのデメリットがあるとすれば、借り物の楽器だからと楽器の仕組みに興味を持てなかったりお手入れが杜撰になることでしょうか。バイオリンは弾き方さえ知っていれば上達するのではなく、楽器の扱い方も知ってこそ上達します。レンタル楽器を大切にできない場合は「自分の楽器」として購入して扱い方や仕組みを覚えたほうが良いとも言えます。

また、レンタルが必ずしも最安値なわけではありません。例えばレンタル料が月額5千円年間なら年間の費用は6万円になります。だったら中古楽器を購入するのもアリかもしれません。

2.中古楽器

楽器を購入するというと新品の購入を思い浮かべることが多いですが、中古楽器という選択もあります。たとえば、バイオリンの専門店が中古楽器を引き取ってメンテナンスしてすぐに弾ける状態にしたものなら、初心者が購入しても不都合はありません。楽器本体と弓のセットで2万円程度から。

(例)シロップバイオリン工房公式ストア

中古楽器はメルカリなどフリマサイトでも多数販売されています。確かにフリマサイトなら安く購入できるのですが、楽器は購入して終わりではなく消耗品の交換や調整等で何かと楽器店のお世話になります。楽器店で購入した楽器なら購入先の店舗に修理等の相談ができますが、フリマサイトで買った楽器の場合はその楽器の修理を引き受けてくれる楽器店をまた探さなければなりません。そういう意味でもフリマサイトでの購入は初心者には難易度が高いので、中古楽器を探すならまずは楽器店の中古品をお勧めします。

3.大手楽器店の初心者セット

初心者用にセット販売されている楽器があります。肩当や松脂など小物までセットになっていると他に買い足す必要がなく、レッスンが始まってから「●●が足りない!」と慌てて買いに走ることもありません。

(例)島村楽器・バイオリン初心者セット

お値段は3~7万円程度。エントリーモデルの楽器のセットなのでどこでも似たような値段になります。楽器経験がないと楽器専門店に入るのは少し勇気がいりますが、大手楽器店ならショッピングモールなど入りやすいところにあるので、お買い物ついでに最初の情報収集に立ち寄ってみると良いでしょう。

バイオリンを体験してから、購入かレンタルか考えるのもアリ

一般に楽器を習い始める場合、楽器を購入なりレンタルなりで用意してから教室に通い始めます。それでも不安が付きまとうのは「すぐに辞めてしまったらもったいない」という懸念があるから。草野球や草サッカーなど遊びでプレーの真似事ができるスポーツと違い、特に弦楽器は気軽に体験できる場所がありません。教室に通う以外に練習のイメージや演奏の楽しさを知る機会がなく、だから余計に楽器の購入を躊躇してしまいます。

体験レッスンで検討する方法もありますが、バイオリンは1回体験しただけで「できた!」と思えることがありません。これがピアノならきらきら星など簡単な曲のメロディを片手で弾けるかもしれませんが、バイオリンはドレミファソラシドを弾くのに数週間の練習を要する楽器です。だから1回の体験レッスンだけでは「よく分からない」ことが多いのです。

「バイオリンに興味があるけど不安・・・」と楽器購入や教室の申込ができないでいるなら、バイオリンで1曲弾いた後に購入やレンタルを考えてみる方法もあります。6週間だけ、バイオリンのある生活を体験してみましょう。毎日の練習、曲が弾けたときの楽しさを一通り体験してみたら、長期的にバイオリンを習うイメージ湧いてきます。

小学生のための6週間バイオリン・レッスン」はレンタル楽器とZoomレッスンで課題曲を1曲弾きます。6週間を終えたらそのまま終了してもほかに教室を探して続けるのも自由。課題曲のほかにもう1曲弾いてから考える、でも構いません。まず最初の一歩を踏み出してみましょう。

バイオリンを練習する小学生
バイオリン演奏の楽しさは弾かなきゃ分からない
バイオリンを演奏するリスのイラスト

「バイオリンをもっと身近に感じてほしい」の思いを持ったバイオリニストによる講師チーム。オンラインならではの教え方を工夫しています。日本国内だけでなく海外からもレッスン実施中。