ピアノの鍵盤とバイオリンのスクロール

ピアノとバイオリンを両方習うのは無理じゃない!~音楽の幅が広がるメリット

子どもがピアノを習っています。最近はバイオリンにも興味があるのですが、ピアノに加えてバイオリンも習うのは無理ですよね?

という質問が寄せられることがあります。しかし無理どころか、うまく両立してピアノにも良い影響を受けている人がたくさんいます。

特別な才能があったわけではなく、ピアノを通して音楽への興味が広がっているから、上手に両立できるのです。

無理だと思っているのは、ほとんどの場合大人(親)だけ。大人になるとどうしても「新しいことに挑戦する」機会が減りますから、無意識に「やらない」選択をしがちです。だから「ピアノと両立は無理」と最初に結論づけてしまうのですが、実際は大人が懸念するよりピアノと両立はスムーズにできるものです。

音楽が好きだからこそ、バイオリンも弾いてみたい

ピアノを続けているということは、音楽にとても興味が深いのでしょう。ピアノ以外の楽器に興味が向くのも自然なことです。だからといって今すぐピアノを投げ捨てて他の楽器を演奏したいのではありません。ピアノも弾き続けて、別の楽器も試してみたいだけです。

子どもにピアノを習わせている親は、多くの場合、ピアノを通して広く音楽に興味を持ってほしいと思っています。「うちの子はピアノさえ弾ければそれ以外に対する興味はいらない」と思っている人は稀でしょう。

だからこそ「バイオリンも弾いてみたい」と興味が広がった今、子どもの挑戦を応援してあげてください。

「練習が大切」と分かっているから練習できる

ピアノの上達には練習が欠かせません。バイオリンの練習にも、やはり練習が欠かせません。ピアノで「練習しないとうまくならない」と分かっているから、バイオリンを練習する必要性はもう十分理解しています。

練習する習慣がもうすでにあるのですから、そこに1日10分のバイオリンを加えるだけ。他に習い事を経験していない場合よりもスムーズに習慣づけられます。

コンクール前、受験期だからこそ「時間管理」の達人になる

「バイオリン弾きたい!」と思ったその時が最良のはじめ時。とはいえ、コンクールは近い、受験勉強のため塾の時間も増えてきた・・・ならやっぱり無理でしょう?・・・なんて思っていないでしょうか?

実はそうでもありません。コンクールで上位を狙ったり受験の合格を目指すなら、決められた時間をただ漠然と練習しても問題を解いても、演奏や学力はあまり向上しません。ピアノの練習も受験勉強も「今この時間で何をやるのか」「何を克服すべきか」を念頭に置いて取り組まないと、ただ時間を費やすだけです。

だからコンクールや受験などより上位を目指して努力している人ほど、短時間に集中して時間を効率よく使っています。

毎日の練習や勉強も、起きている時間のすべてを費やしているわけではありません。より集中するためには、時には息抜きだって必要です。その息抜きの10分間を、バイオリンの時間に充てるだけ。

ピアノを長く続けていたり受験勉強に取り組んでいると「バイオリンの練習は10分じゃ少なすぎるでしょう?」と思うかもしれません。しかしバイオリンの初心者の場合は練習の持続力はせいぜい10分です。初心者のうちは正しい姿勢をキープできず、長時間練習しても姿勢が悪くなって上達にはつながりません。だから集中して10分の練習ができれば十分です。

「やりたい」と思ったものを我慢しているより、今始められるならうまく生活リズムの中に取り込んだほうが生活は充実します。「コンクール前や受験期だからあきらめる」のではなく「コンクール前や受験期だから、時間の使い方を工夫する」ことができるのです。実際に何人もの受講者がそうした環境でバイオリンを弾いています。

コンクールや受験では今よりもさらに高みを目指すため、練習や学習の要求水準も高いのですが、これから初めて取り組むバイオリンは知識も経験もゼロの状態。だからなにか一つでも知識を得てできることが増えたら大きな進歩です。上達を実感しやすいので、コンクールや受験に先駆けて成功イメージを持つ良い経験にもなるでしょう。

ピアノの演奏にも良い影響が

ピアノの上達には、ピアノだけ弾ければ良いわけではありません。豊かな表現力は、豊かな好奇心、感受性、理解力・・・さまざまな生活体験が欠かせません。

バイオリンを弾けるようになることは、ピアノにもたくさん良い影響をもたらします。実際に、6週間バイオリンを弾いた親子からは次のような感想がたくさん寄せられました。

バイオリンとピアノとでは演奏方法も音の出し方も違います。違う楽器の特徴に触れてみると、改めてピアノの音や弾き方を意識するきっかけになります。

ピアノはバイオリンのように音を出し続けることができません。ピアノの内部の弦を弾いた音とその残響で表現します。バイオリンは音の長さを自分で決められます。それぞれ、良い音を響かせるために必要な技術は違います。

いつもは当たり前だったピアノの音が、実はとても特徴的だと再発見すると、一層ピアノへの興味が深まります。

ピアノは一人で演奏することが多い楽器ですが、この先楽器を演奏できるお友達と出会って伴奏する機会があれば、相手の楽器の特徴を意識して伴奏できます。ピアノ曲以外の曲を演奏する際も、原曲にどういう音の特徴があるのか想像が働きます。

「バイオリンを習い始めたらピアノがおろそかになる」と懸念するなら、それはおそらく杞憂に終わるでしょう。音楽が好きだからこそ、新しい楽器の挑戦はすべてピアノ演奏の糧になります。

大人は言い訳をする

「両立は無理ですよね?」と言い出すのは、たいてい大人です。

子どもは「バイオリンやりたい」と意思があっても、大人(保護者)のほうが不安になっています。

「やっても弾けなかったら可哀そう」「時間とお金の無駄じゃないの?」と、つい大人は頭で考えてしまいます。「ピアノが中途半端になってしまうのではないか」「受験勉強がおろそかになるのでは?」という懸念を持つこともあります。

そうすると「バイオリンをやらせない」「バイオリンを諦めさせる」ために、大人(保護者)が無意識のうちに子どもを誘導してしまうことがあります。「ピアノだって塾だってあるでしょ!」「毎日練習なんてできるの??」という具合に問い詰めてしまうのです。

しかし上述のとおり、ピアノを習っている人ほど集中してバイオリンに取り組んでいます。特別な才能があったからではなく、みんな興味を持ったことに小さな一歩を踏み出しただけ。バイオリンは成功確率の低い無謀な挑戦ではありません。練習すれば弾けるようになる楽器です。

試してみる前から「両立なんて無理」と決めてしまっては、この先新しい挑戦ができなくなります。「ピアノもバイオリンも両立できた。だからこの先の勉強も頑張れる!」という自信につながるチャンスです。子どもの挑戦意欲を閉ざすのではなく、一時だけ子どもの挑戦を伴走してあげてください。

6週間レッスンから試してみる

いま通っているピアノ教室に加えて、別のバイオリン教室に入会して、楽器も買い揃えて、毎回の送り迎えが必要で・・・と考えると、確かに簡単ではないかもしれません。だったら最初は6週間バイオリン・レッスンを利用してみましょう。レッスンはレンタル楽器とZoomで実施するので、楽器を買い揃えたり送り迎えの時間も必要ありません。少しの負担で「バイオリンとピアノを両方習う」が実現します。

実際にピアノに加えてバイオリンを始めてみると、練習が増えて大変というより「バイオリンを弾くのが楽しい。弾くのは簡単ではないけど、良い音が出ると嬉しい」というポジティブな気持ちで取り組んでいる人がほとんどです。オンラインでもちゃんと上達しますし、最後にはみな堂々と1曲披露しています。

ピアノに加えてバイオリンも続けていくのかは、実際にバイオリンを体験してから考えればいいのです。中には「バイオリンも続けたいけど、今はピアノに集中する」と優先順位をつけてより真剣にピアノに取り組むようになったという例もあります。

「バイオリンやりたい」と言い出したなら、今の興味を短期間だけでも叶えてみてください。それだけでも、世界が広がります。

バイオリンを演奏するリスのイラスト

「バイオリンをもっと身近に感じてほしい」の思いを持ったバイオリニストによる講師チーム。オンラインならではの教え方を工夫しています。日本国内だけでなく海外からもレッスン実施中。