ピアノとバイオリンの両立は無理ですよね?

ピアノを習っています。6週間のバイオリンにも興味があるのですが、ピアノに加えてバイオリンも練習するのは無理ですよね?

という質問が寄せられることがあります。しかし無理どころか、うまく両立してピアノにも良い影響を受けている人がたくさんいます。

特別な才能があったわけではなく、ピアノを通して音楽への興味が広がっているから、上手に両立できるのです。

無理だと思っているのは、ほとんど大人だけ。大人になるとどうしても「新しいことに挑戦する」機会が減りますから、無意識に「やらない」選択をしがちです。だから「ピアノと両立は無理」と最初に結論づけてしまうのですが、実際は大人が懸念するよりピアノと両立はスムーズにできてしまいます。

音楽が好きだからこそ、バイオリンも弾いてみたい

ピアノを続けているということは、音楽にとても興味が深いのでしょう。ピアノ以外の楽器に興味が向くのも自然なことです。だからといって今すぐピアノを投げ捨てて他の楽器を演奏したいのではありません。ピアノも弾き続けて、別の楽器も試してみたいだけです。

子どもにピアノを習わせている親は、多くの場合、ピアノを通して広く音楽に興味を持ってほしいと思っています。ピアノさえ弾ければそれ以外の興味はいらない、という人は稀でしょう。

だからこそ「バイオリンも弾いてみたい」と興味が広がった今、子どもの挑戦を応援してあげてください。

「練習が大切」と分かっているから練習できる

ピアノの上達には練習が欠かせません。バイオリンの練習にも、やはり練習が欠かせません。ピアノで「練習しないとうまくならない」と分かっているから、バイオリンを練習する必要性はもう十分理解しています。

練習する習慣がもうすでにあるのですから、そこに1日10分のバイオリンを加えるだけ。他に習い事を経験していない場合よりもスムーズに習慣づけられます。

コンクール前でも、受験期でもできる

「バイオリン弾きたい!」と思ったその時が最良のはじめ時。とはいえ、コンクールは近い、受験勉強のため塾の時間も増えてきた・・・ならやっぱり無理でしょう?

実はそうでもありません。コンクールで上位を狙ったり受験の合格を目指すなら、決められた時間をただ漠然と練習しても問題を解いても、演奏や学力はあまり向上しません。ピアノの練習も受験勉強も「今この時間で何をやるのか」「何を克服すべきか」を念頭に置いて取り組まないと、ただ時間を費やすだけです。

だからコンクールや受験などより上位を目指して努力している人は、短時間に集中して時間を効率よく使っています。

毎日の練習や勉強も、起きている時間のすべてを費やしているわけではありません。より集中するためには、時には息抜きだって必要です。その10分の息抜きを、バイオリンの時間にするだけ。

「やりたい」と思ったものを我慢しているより、今始められるならうまく生活リズムの中に取り込んでしまえばいいのです。コンクールや受験勉強に取り組んでいる人ほど時間の工面がうまく、実際何人もの受講者がそうした環境でバイオリンを弾いています。

コンクールや受験では今よりもさらに高みを目指すため、練習や学習の要求水準も高いのですが、初めて取り組むバイオリンはすべてゼロの状態。なにか一つでもできれば大きな進歩です。上達を実感しやすいので、コンクールや受験に先駆けて成功イメージを持つ良い経験にもなるでしょう。

ピアノの演奏にも良い影響が

ピアノの上達には、ピアノだけ弾ければ良いわけではありません。豊かな表現力は、豊かな好奇心、感受性、理解力・・・さまざまな生活体験が欠かせません。

バイオリンを弾けるようになることは、ピアノにもたくさん良い影響をもたらします。実際に、6週間バイオリンを弾いた親子からは次のような感想がたくさん寄せられました。

  • ピアノの練習も集中するようになった
  • ピアノの表現も豊かになった
  • ピアノ曲だけでなく、バイオリンの曲にも興味を持つようになった
  • 他の楽器を伴奏することに興味を持つようになった
  • ピアノもバイオリンも弾き方や音色に気を使うようになった


バイオリンとピアノとでは演奏方法も音の出し方も違います。違う楽器の特徴に触れてみると、改めてピアノの音や弾き方を意識するきっかけになります。

ピアノはバイオリンのように音を出し続けることができません。ピアノの内部の弦を弾いた音とその残響で表現します。バイオリンは音の長さを自分で決められます。それぞれ、良い音を響かせるために必要な技術は違います。

いつもは当たり前だったピアノの音が、実はとても特徴的だと再発見すると、一層ピアノへの興味が深まります。

ピアノは一人で演奏することが多い楽器ですが、この先楽器を演奏できるお友達と出会って伴奏する機会があれば、相手の楽器の特徴を意識して伴奏できます。ピアノ曲以外の曲を演奏する際も、原曲にどういう音の特徴があるのか想像が働きます。

音楽への興味が深まって、6週間で終えることなくその後もピアノとバイオリンの両方を継続している人もいます。

「ピアノがおろそかになる」と懸念するなら、それはおそらく杞憂に終わるでしょう。音楽が好きだからこそ、新しい楽器の挑戦はすべてピアノ演奏の糧になります。

短期集中だから頑張れる

ピアノとバイオリンの両立は、今後ずっと続くものではありません。6週間レッスンは、6回のレッスンと課題曲演奏を完了したら、そこで終了。

いつでも弾けると思うとつい後回しになりがちでも、期間が決まっていれば集中して取り組めます。

スタートしたら6週間はあっという間です。練習できる残りの時間はどんどん減っていきます。練習を休んだ今日の時間は後から取り返せません。レッスンの残回数は減っていき、すべて終えたらバイオリンも手元からなくなります。

この先ずっとピアノとバイオリンを両立し続けるわけでありません。「やりたい!」と思った今だけ、集中して取り組んでみてください。

大人は言い訳をする

「両立は無理ですよね?」と言い出すのは、大人です。

子どもは「バイオリンやりたい」と意思があっても、大人(保護者)のほうが不安になっています。

「弾けなかったら可哀そう」「時間とお金の無駄じゃないの?」と、つい大人は頭で考えてしまいます。「ピアノが中途半端になってしまうのではないか」「ピアノを辞めてしまうのではないか」という懸念を持つこともあります。

そうすると、大人の賢い判断のフリをして「バイオリンをやらせない」「バイオリンを諦めさせる」ために、大人(保護者)が誘導してしまうことがあります。「ピアノだって塾だってあるでしょ!」「毎日練習なんてできるの??」という具合に「やらない理由」「諦めるべき理由」を作ってしまうのです。

しかし上述のとおり、ピアノを習っている人ほど集中してバイオリンに取り組んでいます。特別な才能があったからではなく、みんな興味を持ったことに小さな一歩を踏み出しただけ。バイオリンは成功確率の低い無謀な挑戦ではありません。やった分だけ弾けるようになります。

試してみる前から「両立なんて無理」と決めてしまっては、この先新しい挑戦ができなくなります。「ピアノもバイオリンも両立できた、だからこの先の勉強も頑張れる」という自信につながるチャンスです。6週間という期間限定なので、子どもの挑戦意欲を閉ざすのではなく、一時だけ子どもの挑戦を伴走してあげてください。