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バイオリンの仕組みを理解して上達!~初心者におすすめの本6選

バイオリンの仕組みを理解して、良い音を響かせる

バイオリンで良い音を出したいと思ったら、弾き方を覚えるだけでは足りません。バイオリンの音が響く仕組みを知って、良い音を自分で作っていく必要があります。だから楽器の仕組みを何も知らなかったら良い音は出せません。

演奏以外のこと、たとえばバイオリンのこのパーツは何のためにあるんだろう?バイオリンはどうしてこんな形をしているの?と疑問や興味を持ったら良い音を出せる最初の一歩。この機会にバイオリンの仕組みを少し勉強してみましょう。

下に紹介する本は小学生が読んでもわかりやすく、大人も興味深く読めるものです。子どもの練習に付き合うだけだった保護者も、知識が深まるとバイオリンに関わることが楽しくなります。ぜひ一度バイオリンの知識に触れてみてください。

バイオリンの仕組みが分かる本

バイオリンがどのように作られているのか、基本的な構造を知ると楽器への理解が深まります。いちどに全部を知ろうとしなくても、ペグや駒など表に見えているパーツから読み始めても良いでしょう。

 『ヴァイオリンを読む本 もっと知りたいヴァイオリンのはなし』

(出版社:ヤマハミュージックエンターテイメント)

本の構成は全部で5章。第一章はバイオリンにまつわる雑学、第二章は歴史、第三章で楽器の仕組み、第四章で演奏方法、第五章でバイオリンの名手と作曲家について解説しています。各章とも10~12の小トピックに分かれているので、気になるトピックだけを拾って読むこともできます。

楽器の仕組みを知りたいだけなら第三章だけでも十分です。「表板と裏板では木材の種類は違う?」「弦の材質は何?」など、知っているようで知らない楽器のことが分かるようになります。

「古くなったヴァイオリンはみな音が良くなるの?」「左利き用のヴァイオリンってあるの?」等、誰もがいちどは疑問に思ったことは、第一章で解説されています。

難しい言葉を使っていないので小学生でも理解できますが、高学年生くらいの漢字まで使われているので読めない漢字は大人が手助けしてあげてください。

 『1冊でわかるポケット教養シリーズ バイオリンを知る本』

(出版社:ヤマハミュージックメディア)

コンパクトな本でKindle版も利用できます。全6章で構成されていて、バイオリン製作の歴史やバイオリンのための楽曲、バイオリン演奏の用語など、バイオリンを習っている人が読むと理解が深まる本です。

第5章、第6章は著名なバイオリニストにまつわる話なので、名前を聞いたことがないと面白くないかもしれません。初心者なら第4章まで読めば十分でしょう。第4章でバイオリン製作について触れているので、この章を最初に読んでもよいでしょう。

巻頭のパーツ図は分かりやすくて便利です。バイオリンを習うなら最初にこの図に描かれているパーツと意味を知っておきましょう。

楽譜の仕組みが分かる本

曲を演奏するには楽譜が読めないと困ります。年齢の低いうちは指番号を楽譜に書いて弾くこともありますが、その方法だと指の順番を覚えるだけで楽譜を読めてはいません。今までより少し長い曲、少し難易度の高い曲を演奏しようと思ったら、自分で楽譜を読めないとなかなか曲をマスターできません。

年齢が低いうちは音符や音を覚える練習(これを「ソルフェージュ」といいます)を嫌うかもしれません。曲を弾いた満足感がなくて面白くないからです。しかし、たとえば英語など第二外国語をネイティブでない人が効率よく理解するには文法の知識が必要なのと同じように、音楽の文法である楽譜が分かったほうがずっと効率よく上達できるのです。

だから興味を持てそうな範囲から少しずつ楽譜の仕組みを学んでみてください。低学年生の場合はひとりで理解するのは難しいので、保護者が一緒に学んでみてください。保護者が楽譜を理解するだけでも自宅の練習をより効果的にサポートできます。

いちどに最後まで読まなくても、必要なときに使える参考書として教本と一緒に保管しておくことをお勧めします。

 『よくわかる楽典の教科書 (ゼロからすぐに身につく本)』

(出版社:ヤマハミュージックエンターテイメント)

音符とは何か、という基礎の基礎からコード進行等の上級知識までカバーしている本です。楽譜の読み方が分からない人は、まず第1章から第3章に楽譜の基本が解説されているのでまずここを繰り返し読んで理解しましょう。第8章と第9章には楽譜に書かれている記号を解説しているので、こちらも一緒に読むことをお勧めします。

楽譜に慣れてきたら第4章と第5章で「音階」について知ることをお勧めします。第6章と第7章はコード進行に関する話なので少し難易度も上がってきますが、興味をもったらぜひ読み進めてみてください。

楽譜に関する用語がたくさん出てきます。いちどに全部覚えられなくても、教本に出てきた同じ記号や用語から覚えてみましょう。

『OzaShinの誰でもわかる 音楽理論入門』

(出版社:ナツメ社)

ポップな表紙が親しみやすいので、上の『・・・楽典の教科書』より始めやすいかもしれません。全部で3章のうち、第1章が基礎編、第2章が応用編、第3章が発展編で構成されています。

まず第1章の基礎編で楽譜の読み方を確認しましょう。第2章以降はコード進行についての話なので、少し難しくなります。

この本の特徴として、解説用に短い楽譜のサンプルが随所に掲載されています。それぞれQRコードからサンプル音源を聴けます。楽譜から音やリズムをイメージできなくても、実際に聴いて確かめられるのでお勧めです。

アニメやゲーム音楽の作編曲家でもある著者はYouTubeチャンネル「おざしんミュージック」でもコード進行など解説しています。興味があったらこちらも参考にしてみましょう。

オーケストラの成り立ちが分かる本

バイオリンはオーケストラの中心的な楽器です。なぜならそれは、オーケストラの歴史の初期はバイオリンやチェロなど弦楽器だけで編成されていたからです。時代を経て管楽器が加えられて、現在のような形式に至りました。

オーケストラ演奏というとなんだか小難しそうなイメージがありますが、それぞれの所作の背景を知るとオーケストラの面白さもわかってきます。クラシック音楽を鑑賞してみようかなと思ったら予習として読んでみてください。

『オーケストラの文明史 ヨーロッパ三千年の夢』

(出版社:春秋社)

この本は上記の本よりも少し難しいので、子ども向けというよりは保護者向けの内容です。市民革命など歴史上の出来事がオーケストラに及ぼした影響を解説しているので、世界史や西洋近代史に関心がある人にお勧めです。

『ベートーヴェン《第九》の世界』

(出版社:岩波書店)

岩波新書の1冊です。ベートーヴェンの「第九」と言えば、その第4楽章にはだれもが知る有名なフレーズ「喜びの歌」があります。交響曲がつくられた背景を革命などの歴史を交えて解説しています。有名な作曲家が活躍した時代背景が分かると、楽曲や演奏の理解も深まります。

上の『・・・文明史』よりさらにピンポイントに掘り下げた内容です。ベートーヴェンの楽曲ファンならぜひ一度読んでみてください。

当たり前のこととして習ったバイオリンの常識も、歴史上の変遷があって今の様式になりました。バイオリンは、知れば知るほど奥深い楽器です。

楽器の詳しい話はインターネットで検索してもあまり出てきません。楽器のことをもっと詳しく知りたいと思ったら、ぜひ図書館や書店に行って興味を持てる本を見つけてください。

バイオリンを演奏するリスのイラスト

「バイオリンをもっと身近に感じてほしい」の思いを持ったバイオリニストによる講師チーム。オンラインならではの教え方を工夫しています。日本国内だけでなく海外からもレッスン実施中。